甲府盆地の夜は静かで、星々が凛と瞬いていた。
しかし、街の光の下――工房の奥深くでは、わずかな火が揺れていた。
老人の職人はひとり、宝石を手に取り、丁寧に磨き続ける。
かつては数十人いた弟子たちも、仲間たちも、いまはもうこの灯火を守る者だけ。
かつての工房の賑わいは、今は遠い記憶の中にある。
中国Gの安価な模造品が市場を奪い、Xの影が広告をかき乱した日々。
仲間たちの夢は幾度となく潰され、工房は姿を消していった。
それでも――。
指先に伝わる宝石の冷たい重みが、老職人を現実に引き戻す。
「まだ終わってはいない。光は、ここにある。」
研磨機の微かな音に混ざる、炉の赤い輝き。
やがてその光は、誰も知らぬ地下の影工廠で脈打つ巨大な鼓動と重なっていく。
火花は星々のように飛び、磨かれる宝石は艦体の装甲片のように光を反射する。
老職人はふと、夜空を見上げた。
そこには無数の星――そして、まだ誰も見ぬ未来艦の幻影が浮かんでいた。
名は「武蔵」。
宝飾の魂と職人たちの誇りを背に、必ずこの地から再び浮上する。
火を絶やさぬ限り、希望は滅びない。
そしてその炎こそが、宇宙戦史の幕を開ける合図となるのだ。
つづく――
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